畳と健康
畳は空気の清浄機
呼吸する畳
畳に使われているイグサのスポンジ状の部分には、大気汚染の原因とも言われている「空気中の二酸化窒素ガス」を吸収する作用がある事が東大工学部西村研究室の研究によって明らかになりました。二酸化窒素は人体の特に呼吸器系統への悪影響を及ぼす事がよく知られています。
畳や「い草」カーペットを敷いた部屋は環境基準(0.04〜0.06ppm 1日平均)の2倍の二酸化窒素を2〜3時間で「い草」が自然浄化し、空気がきれいになるという結果が出ています。二酸化窒素濃度は通常、畳の和室は、洋間の約半分。
イグサが吸着する化学物質実験 | 似ている臭い | ||||||
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化学物質 | 初期濃度 | 減少率 | 汗臭 | ペット臭 | トイレ臭 | タバコ臭 | |
二酸化窒素 | 自動車排気ガス・喘息の原因 | 20.0ppm | 100.0% | ||||
ホルムアルデヒド | シックハウス原因物質 | 20ppm | 67.9% | ||||
アンモニア | し尿のような臭い | 40ppm | 100.0% | ○ | ○ | ○ | ○ |
酢酸 | 体臭・汗臭、お酢 | 100ppm | 90.6% | ○ | ○ | ○ | ○ |
硫化水素 | 腐った卵の臭い | 15ppm | 0.0% | ○ | ○ | ||
ピリジン | 強い不快臭 | 12ppm | 90.6% | ○ | |||
アセトアルデヒド | 刺激的な青臭い臭い | 14ppm | 13.9% | ○ | |||
メチルメルカプタン | 腐った玉葱の臭い | 8ppm | 3.8% | ○ | ○ | ||
イソ吉草酸 | 蒸れた靴下の様な臭い | 93.7% | ○ | ||||
インドール | 著しい糞便臭 | 約33ppm | 93.9% | ○ | ○ | ||
トリメチルアミン | 腐った魚の臭い | 28ppm | 85.5% | ○ |
畳に使われているイグサには、数多くの有害化学物質を浄化するチカラがあるのです。
抗菌性にも優れたイグサ
イグサには抗菌効果がある事も認められています。
※有用腸内細菌には抗菌性なし。
- サルモネラ菌(食中毒細菌)
- 黄色ブドウ球菌(食中毒細菌)
- 腸管出血性大腸菌O157(食中毒細菌)
- 腸管出血性大腸菌O26(食中毒細菌)
- 腸管出血性大腸菌O111(食中毒細菌)
- バチルス菌(腐敗細菌)
- ミクロコッカス菌(腐敗細菌)
更に畳独自のい草が醸し出す香りは、人間をリラックスさせ、ストレスを解消し、精神を安定させる、森林効果・鎮静作用があります。このように、畳は知らず知らずのうちに室内の空気を綺麗にして健康な環境作りに役立っているのです。
畳の保湿・除湿効果
なぜ畳にカビが生えるのか
「イグサは、空気中の湿度が40%以上になると水分を吸収し、40%以下になると水分を放出する」といわれています。畳1畳分の自然吸湿能力は、約500ml。梅雨時などの季節は湿気を抑え、冬などの空気が乾燥している場合はほどよい「マイナスイオン」を吐き出す、エアコンのようなチカラを備えているんです。まさに日本の風土に適した材質と言えるでしょう。
いぐさのスポンジ部分が湿気を吸収し、わらのぽっかり空いた空洞部分が湿気を放出します。つまり畳は、呼吸しているのです。
梅雨時期、畳にカビが生えたのは、畳表の効能でもある空中の湿度調整機能のあらわれです。
掃除機や空ぞうきんでこまめに掃除をし、乾季を待ちましょう。天気の良い日には部屋に湿気がこもらないよう窓を開けて空気の入れ替えを行って、カビの予防をすることも大切です。
夏はひんやり冬はあったか
空気には熱を伝えにくい性質があります。 畳が、夏はひんやりと肌に心地よく、冬は暖かい空気を優しく保ってくれるのも、畳が含んでいる空気のおかげです。
畳床はたくさんのわらを(約40cmに積んだワラを5cm程度にまで)圧縮して作られているので、間に空気が入っています。畳表のい草も中はスポンジのようになっていますので、たくさんの空気を含んでいます。
夏の空気は暑さを遮断する働きを、冬の空気は外の冷たい空気を遮る断熱材の働きをすると同時に、室内の暖かい空気を保つ役目をしてくれるのです。

素材 | 密度(g/cm2) | 厚さ(cm) | 熱伝導率 |
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アクリル・カーペット | 0.24 | 6.0 | 0.369 |
ウール・カーペット | 0.23 | 6.0 | 0.296 |
畳 | 0.31 | 6.0 | 0.280 |
畳床 | 0.31 | 6.0 | 0.262 |
畳表 | 0.32 | 6.0 | 0.238 |
アクリル | 0.08 | 6.0 | 0.220 |
木綿 | 0.12 | 6.0 | 0.202 |
ポリエステル | 0.09 | 6.0 | 0.188 |
その他の効能
まだまだ凄い、畳の「チカラ」
畳の部屋で布団で寝る生活は、イスとの生活とは異なって、畳に座った状態から立ち上がる動きや、朝晩の布団の上げ下ろしといった日常生活の動作が自然に足腰を鍛えます。骨量が増える高校生までの時期では特にこれが重要となります。
畳をしいてある部屋は、ひと時のごろ寝や家ー団らんの居間として、座卓ひとつで客間に、来客用の寝室に、コタツを囲んで娯楽室、お茶・お花等の稽古場などの多目的使用できるのも特徴のひとつです。
無数の空気の層は音を吸い込む作用、吸音効果もあります。目で感じる「落ち着いた雰囲気」に加え、この吸音効果がプラスされ、心が静まるイメージを与えます。